惑星といえば、高校に入ったばかりの頃に周囲でブームになっていて、ボールトの演奏を聴いてわくわくしていたのが懐かしい。自分たちで演奏できるわけでもないのに、Boosey & Hawkesの輸入スコアを買い込んでみたりしてね。思いもかけずMフィルハーモニーで演奏する機会を得たのももう10年以上も前。以前デュトワのCDを買ったものの、その後は滅多に耳にすることがなくなっていた。
それをまさかノリントンの演奏で聴くことができるとは。英国音楽の紹介に熱心な彼が、RVW、エルガーといった作曲家を取り上げてきていても、その延長にホルストが来るというのは想像していなかった。昨年の来日記者会見でCD発売の話を聞いた時は、だからとても驚いたのだった。
ノリントンの惑星は、もちろんノンビブラート。金星や土星でビブラートのない弦と管がかけ合うさまは、息をのむほど美しい。火星や木星では、舞踏的というか、1拍目にはっきりとアクセントを置くことで、足を踏みしめながら進むという感じを強く出しているのが印象的だ(火星のアクセントはいろいろ変化していて、これも興味深い)。ティンパニや打楽器の炸裂は、下手な再生装置では音が飽和してしまうほどの威力。
しばらく他の演奏に接していないので、最近の「冥王星」入りという変なのも含め、いくつか入手して聴き比べてみることにするかとも思ったが、やはり全然他のものには関心が湧かないのであった。