OS 8で簡単イントラネット

MacOS 8はいろいろな新機能を持って登場しましたが、その中でも売り物の一つがインターネット・イントラネット機能の強化です。特に新しく提供される「Web共有」機能を使うと、どんなマッキントッシュでもWWWサーバーに早変わり。「ファイル共有」と同じ感覚で、気軽に自分のWebを公開できるのです。最大同時アクセスが8ユーザーという制限はあるものの、小さなオフィスのイントラネットには十分。専門の管理者に頼るまでもありませんから、みんなが思い思いのホームページをつくって、柔軟な情報発信を始めることが可能になるのです。

誰でもホームページを持てる「Web共有」

新登場のMacOS 8は、パーソナルOSとしての使い勝手の向上もさることながら、共同作業のプラットフォームとしても興味深い機能を追加してきました。新しくコントロールパネルで提供される「Web共有」を使うと、特別なソフトを用意することなく、どのマシンも即座にWWWサーバーに変身します。これは、ネットワークさえあれば、MacをOS 8にアップグレードするだけですぐにイントラネットが構築できるということにほかなりません。その結果、マッキントッシュ同士のファイル共有だけでなく、ネットワークでつながったWindowsとも、そのまま情報交換が可能になるのです。

マッキントッシュ上のWWWサーバーとしては、以前紹介したWebSTARを始めとして、扱いやすく機能豊富な製品がいくつも登場しています。しかし、どのマシンも手軽にWebサーバーになることができるというのは、なかなか便利な機能です。本格的なAppleShareサーバーがなくてもシステム標準の「ファイル共有」が結構役に立ってくれるように、この「Web共有」も簡易イントラネットとして、面白い可能性を秘めています。

気が向いたらサーバーにしてみる

同じオフィスのWindowsマシンにファイルを送りたいと思ったときどうしていますか? 従来の「ファイル共有」が使えるのはマッキントッシュ間だけですから、このままでは、フロッピーディスクにコピーして持っていかなくてはなりません。あるいは電子メールの添付書類を使う方法もありますが、数が多い場合はこれも大変です。そんなとき、一時的にこの「Web共有」を有効にするだけで、Windows側からはブラウザ経由で必要なファイルに簡単にアクセスできるようになります。

また、正式なサーバーにHTMLファイルを登録する前に、チェックを行いたいというケース。ブラウザでローカルファイルを開いてもページの表示は可能ですが、これではCGIの働きまで含めたWeb環境としての確認はできません。「Web共有」はWebSTARと互換のCGIもサポートしていますから、自分のデスクトップ上で、本番と同等の環境で十分テストできます。

従来ならこれらはサーバー管理者にお願いするしかないことでした。それが自分で簡単に利用できるようになるというのは、画期的な機能と言って良いでしょう。

「Web共有」を使ってみよう

WWWを利用するためには、最初にIPアドレスの設定をしておかなければなりません。このためには「TCP/IP」コントロールパネルで、各マッキントッシュにアドレスを付与してください(図1)。前回紹介したMN128-SOHOが持っているようなDHCPサーバーを使えば、アドレスは自動的に割り当てられます。

「Web共有」は標準的なインストールを行えば最初からシステムに組み込まれているはずです。まず、コントロールパネルを開いてください。初期状態では「Web共有」はまだ働いておらず、公開するフォルダ(Webフォルダ)には「Webページ」が選択されています(図2)。

“Webフォルダ”は「選択...」ボタンで自由に変更できます(図3)。このフォルダはどのディスクにあっても構いません。ここで選択したWebフォルダ以下の階層が、イントラネットでの共有対象となります。

公開するフォルダが決まったら、次は「ホームページ」の選択です。ホームページとはWebがアクセスされたときに最初に表示するページのこと。サーバーの入り口として、全体の案内や目次にあたるページを指定します。ここでは「default.html」を選んでみましょう(図4)。

最後にウインドウ下部にある「開始」ボタンをクリックします。しばらく準備を行ったあと、ボタンは「停止」という表示に変わり、ウインドウ上部の「アドレス」欄に、サーバーが働いているマッキントッシュのIPアドレスが表示されます(図5)。これで、他のマシンからこのWWWサーバーを利用する準備が整いました。

「Web共有」はバックグラウンドで働くアプリケーションなので、設定を終えるとシステムフォルダの「起動項目」内にエイリアスが作成され、次回以降もマッキントッシュを立ちあげるとすぐにWWWサーバーとして働くようになっています。

簡易イントラネットの公開

他のマシンからこのサーバーにアクセスするには、コントロールパネルのアドレス欄に表示されたIPアドレスを使います。このケースでは、ブラウザでhttp://192.168.0.2/と入力すると、どこからでも公開された「Webページ」フォルダにアクセスできるのです(HostsファイルDNSサーバーを使うと、www.myserverのようなドメイン名でアクセスすることができますが、ここでは詳しくは取り上げません)。

ブラウザでアドレスを入力してみましょう。「ホーム」に指定したHTMLファイルが表示されますね(図6)。このページから必要なファイルにだけリンクを設けておけば、無関係なファイルを覗かれることもありません。逆にいえば、利用者にとってはリンクだけが情報にたどりつくための手がかりになるわけですから、WWWサーバーの公開にあたっては、わかりやすい案内ページを用意することが大切になります。

Personal NetFinder

Web共有で「ホームページ」を指定しない場合は、Personal NetFinder(PNF)が働き、共有フォルダにあるファイルの一覧が表示されます(図7)。ファイル名をクリックすると、ファイルのタイプや拡張子に応じて、ブラウザで内容を表示したり、適切なアプリケーションを自動的に起動したりすることができます(図8)。一時的にWindows利用者にファイルを公開したいときなど、とても便利な機能です。

PNF機能を使っているとき、フォルダ内にfolder_header.html、folder_footer.htmlというファイルを用意しておくと、ファイル一覧の最初や最後にオリジナルのメッセージを表示することができます(図9)。また、SimpleTextで作成したファイルはPNFでは特別な位置づけになっており、ファイル内に設定した文字種が自動的にHTMLに置き換えられて表示されます。さらに、同じフォルダにtext_header.html、text_footer.htmlというファイルがあれば、ここで記述されたヘッダやフッタが加わります(図10)。普段SimpleTextは滅多に使わないかも知れませんが、HTMLなしで簡単なイントラネット向けの文書を用意できるので、試してみると面白いかも知れません。

なお、PNFの場合でも、フォルダにindex.htmlというファイルがあると、ファイル一覧ではなくindex.htmlの内容が表示されます。WebフォルダをPNFを使って公開しつつ、一部のサブフォルダは内容を一覧表示したくないというようなときは、そこに適当なindex.htmlを置くことで解決できるわけです。逆に、ホームページを指定していてもURLの最後に「/PNF:」を加えると、PNFとして一覧表示されます。

ファイル共有と連動したアクセス制御

「Web共有」は、ファイル共有と連動したシンプルなセキュリティ機能も備えています。まずWeb共有フォルダに“ファイル共有機能”を使ってアクセス権を設定してください。そのうえで「ファイル共有で設定した利用者にアクセス権を与える」を選択します(図11)。こうすると、このWWWサーバーにアクセスしようとしたとき図12のようなダイアログが表示され、ファイル共有で登録されたユーザーのみが利用を許可されるようになります。単純ながら実用には十分なセキュリティです。

簡単だから活用できるWeb共有

「Web共有」を使うと、どのマッキントッシュも簡単にWWWサーバーにすることができます。公式のWWWサーバーの場合、利用者が自由にHTMLファイルを登録するというわけにはいきませんが、これならば誰でも気軽に自分の情報を提供できますね。オフィスにおいて、電子メールに比べるとイントラネット(WWW)がいまひとつ普及しないのは、後者がいかにも管理的な色彩をもっていることにも原因があるように思います。こうした手軽なWeb発信ができるようになると、イントラネットの印象もずいぶん変わり、活用の幅が広がってくるのではないでしょうか。

(MacFan 1997-12-01号)